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社長メッセージ

「共生社会 ~Social Inclusion~」の実現に寄与するイノベーションを創出し、
SDGsを推進することによって持続的な成長を目指します

代表取締役

社長執行役員

高原 豪久

コロナ禍という大きな試練に際して

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により不自由な生活を余儀なくされている皆様、罹患された皆様にお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。また、感染拡大防止に向け最前線で治療や予防にあたられている医療従事者の皆様に敬意を表し深く感謝申し上げます。

ユニ・チャームグループでは、社員とその家族の安全や健康に最大限の配慮を払いつつ事業継続に努め、衛生的な生活に欠かす事のできない商品・サービスの絶え間ない提供に全社を挙げて取り組み続けています。一例ですが、日本において一時的に品切れなどが社会問題化したマスクの供給量を増やすべく、四国工場の生産能力を強化し、24時間連続操業を続けるなどの対応に努めました。

また、社内においては2020年1月末に中国現地法人に向けて、日本の社内備蓄品よりマスクを送付し現地社員への配布を実施。同年2月には日本において原則在宅勤務とするなど、感染予防措置を講じました。同時に、各国・地域の法人社長に対し、現地の感染状況を踏まえ、政府・行政の指示等に従って柔軟な対応を取るよう指示しました。

以上のような積極的な対策が評価され、ロックダウンなどにより工場の操業停止などが余儀なくされる企業が多数発生した国・地域においても、当社は事業を継続することができました。

厳しい環境下ながら増収増益を達成

世界保健機関(WHO)が公式に発表した世界最初のCOVID-19発症例は2019年12月8日ですが、当時これほどの猛威を振るうと予測していた人はごく少数だったと思います。「これまでの常識を覆すほどの大きな変化に頻繁に見舞われる」「変化がいつ発生するか予測できない」「常に変化している、つまり『変化が常態化した』世界となる」といった「ニューノーマル」な時代に私たちが生きていることをCOVID-19は強く思い起こさせる存在と思います。

このような不安定かつ厳しい環境下ではありましたが、当社の2020年度の連結業績は、売上高は133億円(1.9%)増収の7,275億円、コア営業利益は249億円(27.8%)増益の1,147億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は62億円(13.5%)増益の523億円となりました。

地域別では、日本はインバウンド需要などの大幅な落ち込みをマスクやウェットティッシュなどで補い増収増益となりました。対してアジアを中心とする海外はCOVID-19に伴う外出禁止・自粛等の影響で、自宅で過ごす時間が増えたことなどもあり、高品質・高機能な高付加価値品から、価格が手ごろなスタンダード品へ需要がシフトしたことなどが影響し、売上高は微増となりました。また、2020年6月24日にインドのアーメダバード工場(インド西部グジャラート州)におきまして火災が発生し、インドにおける供給量が低下したことなどの影響も受けました。

カテゴリー別では、COVID-19対策に関連してマスクやウェットティッシュが好調であることに加え、介護用品やパートナー・アニマル(ペット)ケア用品が堅調に推移しました。また生理用品も中国をはじめとするアジア各国で『ソフィ』ブランドのロイヤルユーザー化が進み、堅調な成長を示しています。ベビー用紙おむつについては、日本をはじめとする先進国では成熟化を迎えていますが、ASEANやインド、ブラジル等では依然として市場は成長しており、高品質なパンツタイプにおいて圧倒的な品質を誇る当社商品は消費者の支持を順調に獲得しシェアを拡大しています。

事業を通じてESG経営を実践しSDGsへ貢献する

ESG(環境、社会、ガバナンス)を重要視するステークホルダーが珍しくない今日において、これらへの取り組みを掲げるだけでなく、社員一人ひとりの日々の活動にまで刷り込むことが大切だと思います。また、「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献は企業の責務であり、これを放棄して持続的な事業成長はありえません。このような観点から、当社では「事業そのものがESG」「事業を通じてSDGsに貢献する」を体現するような日々の事業運営に取り組んでいます。

一例ですが、当社では2020年9月よりマレーシアおよびシンガポールにおいて、デングウイルスを媒介する蚊を寄せつけない「アンチモスカプセル」を搭載した紙おむつ『MamyPoko Extra Dry Protect』を発売しました。「アンチモスカプセル」とは、蚊が忌避する「レモングラス」成分をマイクロカプセルに詰め込んだものです。この「アンチモスカプセル」を紙おむつのテープ部分に塗工することによって、テープの付け外しの際にカプセルが破砕され、レモングラス成分が赤ちゃんの肌を蚊から守ります。なおレモングラス成分は自然由来の資材を用いており、赤ちゃんの肌に触れても安心です。この商品は我が子をデング熱の脅威から守りたいという保護者から支持されており、事業拡大と合せてSDGsの17の目標のうち「3.すべての人に健康と福祉を」に貢献していると考えます。

また、女性が自分らしく過ごせる社会の実現を目指し、生理に対するこれまでの価値観に変化を起こすべく「#NoBagForMe」プロジェクトを2019年6月に発足し、“生理について気兼ねなく話すという選択肢をもてる社会”に向けた活動を推進してまいりました。2020年はさらに“生理にまつわる知識向上と相互理解を促進する”ことを目指し、多方面で活躍する新しいメンバーをお迎えするなど、さらなる取り組みの拡充を進めました。活動の一環として「企業向け

研修プログラム『みんなの生理研修』」を複数社で実施し、高い満足度評価をいただきました。このような活動に合わせて生理用品ブランド『ソフィ』では、小売店で手に取りやすい「ソフィ#NoBagForMe限定デザイン」商品を発売しました。これらの活動はSDGsの17の目標のうち「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」「5.ジェンダー平等を実現しよう」等の貢献に値すると考えます。

「 Kyo-sei Life Vision 2030」を着実に実行し、共生社会の実現に貢献する

このように、当社は「共生社会」の実現に寄与するために、様々な問題の解決に取り組んでいます。このような取り組みをより強力に推進するべく、中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030~For a Diverse, Inclusive, and Sustainable World~」(以後「Kyo-sei Life Vision 2030」)を策定し、2020年10月22日に公表しました。当社が想い描く「2030年のありたい姿」を明示し、「私たちの健康を守る・支える」「社会の健康を守る・支える」「地球の健康を守る・支える」「ユニ・チャーム プリンシプル」という4つの分野にそれぞれ5つ、合計20の重要取り組みテーマ、指標、目標を設定しました。この「Kyo-sei Life Vision 2030」を着実に実行することによって、環境問題や社会課題の解決、消費者や地域社会への貢献と、継続的な事業成長を同時実現することを目指しています。

また、2021年1月より2023年までの3カ年を対象とした「第11次中期経営計画」をスタートさせました。2030年にネット売上高1.4兆円、コア営業利益率17%を達成し、参入カテゴリーにおいて世界シェアNo.1を獲得するという目標からバックキャスティングで立案した本中期計画では、「人材育成」「消費者の生活を支える付加価値の深化」「消費者の心をつかむ付加価値の進化」「究極の現場作り」「循環型バリューチェーンの構築」といった五つの戦略を柱とし、事業を展開する国・地域、カテゴリーで活動する社員一人ひとりの計画に落とし込みをしています。

「 パーパス&ミッション、ビジョン、バリュー」を共有し機敏に環境変化に適応する

上述のように明確な目標と計画を定めることは大切ですが、冒頭に記したような変化が常態化した「ニューノーマル」な今日においては硬直化を招く恐れがあります。環境変化に柔軟かつ機動的に適応するには、社員一人ひとりが「自分で考え、判断し、行動する」ことが重要です。しかし、ともすると場当たり的になる恐れがあります。そのような事態を避けるため、当社では「パーパス&ミッション、ビジョン、バリュー」を次のように定め、全社員で共有しています。

まず、ユニ・チャームはSDGsの達成に貢献することを「パーパス(Purpose:存在意義)」と考えています。このパーパスを具現化するには、社員一人ひとりが理解・納得・共感し、行動することが重要と考え、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の三つの階層に分けてさらに具体化しました。「ミッション」とは「何を成したいか?」を明示したもので、具体的には「『共生社会』の実現」です。当社の目指す「共生社会」とは、全ての人が自立し、互いに助け合うことで、自分らしく暮らし続けられる社会です。つづく「ビジョン」とは「どのようにして『共生社会』を実現するか?」を示すものです。具体的には当社の理念である「NOLA & DOLA」を実践することで、「NOLA」とは「生活者がさまざまな負担から解放されるよう、心と体をやさしくサポートする」ことを、「DOLA」とは「生活者一人ひとりの夢を叶えることに貢献する」という想いを込めています。そして「バリュー」とは「ミッション」「ビジョン」を支える根底にある「志」「使命感」で、当社においては全世界の社員全員で「共振の経営」という統一されたマネジメント・モデルを推進することです。

以上の「パーパス&ミッション、ビジョン、バリュー」を「心の拠り所」「判断軸」とし、変化する環境に合わせて常に最適解を自ら創り出せる人材を育てることこそが「ニューノーマル」な今日において持続的な成長を実現する上で最も大切な事柄と考えています。

NOLA&DOLA NOLA&DOLA

「 共生社会 = Social Inclusion」が実現された世界を目指して

さて、当社が目指す「共生社会」とは「ソーシャルインクルージョン」(Social Inclusion)の実現にほかなりません。当社の考えるソーシャルインクルージョンとは、いわゆる生活弱者に加え、加齢や疾病、出産、生理などにより一時的または一定期間、不利を抱える状況にある人たちまでを視野に、どのような状況においても、その人らしい生活が送れるよう、一人ひとりが自立をしつつ、程よい距離感でそれぞれができる方法で支え合う社会です。当社はそのような社会を創る一助になりたいと考えています。なお「ダイバーシティ」が「多様性を区分けして活かす」のに対し、「ソーシャルインクルージョン」は「多様性を調和して活かす」という姿勢にあり、この点が大きく異なると考えています。この「共生社会=ソーシャルインクルージョン」を目指す直近の我が社の取り組みをひとつ紹介したいと思います。COVID-19の蔓延により、予防対策のためにマスクが手放せなくなりましたが、「読唇術」によって聴覚を補っていた方々にとっては、マスクがコミュニケーションを阻害することとなりました。今後、COVID-19が終息したとしても、世界的な人の往来が常態化した今日において、また新たなウイルス性疾患が蔓延する可能性は否めず、予防のためのマスク着用は定着する可能性が高いと考えています。このような状況を踏まえて「しっかりと飛沫をカバーしつつ、コミュニケーションを阻害しないマスク」の開発を進めています。完成次第、あらためて皆様には御案内をさせていただきます。

安定的かつ継続的な利益還元により「共生社会」の実現を応援する株主、投資家の皆様を増やす

当社は資本効率の観点からも、適正な利益還元を最も重要な経営方針のひとつと考え、収益力向上のため企業体質の強化および成長に向けた積極的な事業投資を行いながら、安定的かつ継続的な還元方針を堅持しています。このような事業投資・還元方針に賛同いただける株主や投資家の皆様を増やすことは、当社が目指す「共生社会」の実現の上で重要と考えております。

具体的には2020年12月期の配当金は、当初の予定通り前期より4円増配の1株当たり32円としました。その結果、19期連続の増配となりました。次期の利益還元につきましても、継続的な成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当は中長期的な連結業績の成長に基づき、安定的かつ継続的に実施し、自己株式の取得も必要に応じて機動的に実施することで、総還元性向50%を目標に利益還元の充実を図っています。なお、2021年12月期の年間配当金は1株につき4円増配の36円とする予定です。

引き続き、消費者の気持ちに寄り添いながら、尽くし続けることによって、多様な世代が共に自分らしく生活する“共生社会”の実現をサポートする商品やサービスがご提供できますよう、全社一丸となって取り組んでまいります。今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2021年3月

ユニ・チャーム株式会社

代表取締役 社長執行役員

高原 豪久

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