サステナビリティマネジメント
ESG担当役員からのメッセージ
ユニ・チャーム株式会社
上席執行役員 ESG本部長
上田 健次
事業活動を通じて環境問題や社会課題を解決し、全てのステークホルダーに信頼される企業への成長を目指します。
ユニ・チャームグループは、「持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献すること」をパーパス(存在意義)としています。「事業を通じてSDGsに貢献すること」こそ、私たちの考える「サステナビリティ」です。
この想いをより具体化するべく、2020年10月にユニ・チャームグループ中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」を発表しました。「Kyo-sei Life Vision 2030」では、「私たちの健康を守る・支える」「社会の健康を守る・支える」「地球の健康を守る・支える」「ユニ・チャーム プリンシプル」という4つの分野で、合計20の重要取り組みテーマ・指標・目標を設定しました。この20のテーマは、気候変動や海洋プラスチックといった環境問題や東アジアをはじめとする成熟国での少子高齢化および新興国における貧困などの社会課題を包括し、SDGsの17の目標と169のターゲットの達成に貢献するように組み立てています。
また、2020年5月に公表した「環境目標2030」では、「プラスチック問題対応」「気候変動対応」「森林破壊に加担しない(調達対応)」という3つの課題に対し、2050年のあるべき姿「2050ビジョン」を掲げた上で具体的な目標を設定しました。
「Kyo-sei Life Vision 2030」「環境目標2030」を着実に推進するために、社長執行役員を委員長とするESG委員会において進捗状況の報告や課題等に関して討議し、全社を挙げて取り組んでいます。
2023年度の取り組みについて、いくつかご紹介します。
気候変動問題への対応を加速するべく、2022年度に組成した「GHG(Greenhouse Gas/温室効果ガス)排出量可視化プロジェクト」では、日本で自社生産しているパーソナルケア分野の全商品のCFP(Carbon Footprint of Products)*値をタイムリーに算出できる体制を確立しました。また、脱炭素に取り組む団体等の各種外部機関と連携し、国際標準との整合性を確認しながら信頼性のあるGHG排出量の算定規程を策定し、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)のInternal-PCR承認制度による認証を受けることができました。これらの活動をもとに2024年度は、ペットケア分野や海外現地法人への横展開を進めるとともに、一部の商品のCFPについて具体的な数字を用いた情報発信を予定しています。
また、「Kyo-sei Life Vision 2030」で掲げた「事業展開に用いる全ての電力に占める再生可能電力の比率を2030年までに100%とする」の進捗は、2023年度実績で22.8%を達成しました。この活動をより着実なものとするため2023年11月に「RE100」へ加盟しました。今後も各法人の実情に応じた最適調達方法を検討し、再生可能電力比率100%に向けて着実に推進する予定です。
これらの取り組みを進めることで、当社のさまざまな事業活動に伴うCO2排出量の削減に努めるとともに、プロダクトライフサイクル全体を通じたCO2排出量の抑制につながるよう、サプライチェーンに携わる全ての関係者への積極的な働きかけを継続します。
ユニ・チャームグループでは、「Kyo-sei Life Vision 2030」および「環境目標2030」を当社のESGに関連する重点目標として位置づけ、各部門の目標に落とし込み、部門から個人の目標や週単位の行動計画に紐づけるといったきめ細かい活動を行っています。この一環として2023年度より社員の評価指標にESG項目を導入しています。
今後も、これら2つの目標をグループ全員で着実に推進し、事業活動を通じて環境問題や社会課題を解決し、地域社会へ貢献するとともに、ESG関連情報を適切に開示することによって、お客様、株主・投資家、お取引先、社員とその家族、地域社会といった全てのステークホルダーに信頼される企業へと成長することを目指します。
* 商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2量に換算して表示する仕組み
マネジメント体制
サステナビリティ推進体制
当社では、ステークホルダーの期待に応えたサステナビリティマネジメントを円滑に推進するための体制を構築しています。具体的には、社長執行役員を委員長とした全社横断の推進組織「ESG委員会」を年4回開催し、サステナビリティ全般およびガバナンスに関する方針や活動内容について審議・決定し、その進捗状況のモニタリングを行います。ESG委員会には、取締役や執行役員といった経営層に加えて、営業部門や開発部門、マーケティング部門、コーポレート部門、国内外の連結子会社の責任者が出席することで、決定したサステナビリティ関連の諸活動を迅速に実行できる体制を構築しています。なお、ESG委員会での審議・決定内容については、取締役会に年1回以上報告しています。
サステナビリティ推進体制
ESG委員会の役割、実績
役割 |
・中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」および中期経営計画に関する進捗状況の審議・決定 ・グループ全体のサステナビリティに関するリスクと機会および重要課題の特定と対応、情報開示に関する審議・決定 ・同委員会で審議・決定した内容を年1回以上取締役会に報告 |
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2023年度実績 | 開催回数 |
4回(2月、5月、8月、11月) |
主な討議テーマ |
中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」「環境目標2030」および中期経営計画に関する進捗状況 ・「GHG排出量可視化プロジェクト」について ・持続可能性に貢献する社内基準「SDGs Theme Guideline」の運用について ・統合レポート、サステナビリティレポートの制作方針、進捗について ・ESGの外部評価に関する情報の共有 ・CSA(Control Self-Assessment/統制自己評価)と内部監査計画 |
ESG 委員会における主な取り組みテーマと分類
ISO26000 中核主題 |
組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティ参画および開発 |
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主な取り組みテーマ | |
E |
・気候変動: 温室効果ガス、エネルギー使用管理、気候変動リスク ・水資源:水使用、水使用量削減 ・汚染と資源:廃棄物、資源使用、リサイクル ・サプライチェーン:サプライヤー方針、環境問題、持続可能な森林資源・パーム油調達 ・生物多様性 ・環境配慮型商品の開発 |
S |
・労働基準:児童労働の禁止、強制労働の禁止、差別禁止、結社の自由、団体交渉権、最低賃金、ハラスメントの防止 ・健康、安全 ・人権:デュー・ディリジェンス、子どもの権利、児童労働の禁止、地域雇用、苦情処理 ・社会:コミュニティ投資、社会貢献活動 ・顧客に対する責任:責任ある広告とマーケティング、顧客満足 ・サプライチェーン:児童労働の禁止、強制労働の禁止、差別禁止、結社の自由、団体交渉権、最低賃金、健康安全、デュー・ディリジェンス、能力開発 ・商品品質、商品安全 |
G |
・腐敗防止:贈収賄、インサイダー取引、内部通報制度、教育、リスク評価 ・コーポレート・ガバナンス ・全社的なリスクマネジメント:環境、社会、コーポレート・ガバナンス ・コンプライアンス ・税の透明性 |
ステークホルダーとのエンゲージメント
当社は、「“信念と誓い”と企業行動原則」において、お客様、株主・投資家、お取引先、社員、社会から信頼される誠実な企業活動を行うことを誓い、さまざまな機会を通じて、ステークホルダーの皆様とエンゲージメントを深める活動を行っています。また、衛生的な生活に欠かせない消費財を提供する企業として、地球環境や国際社会、次世代も重要なステークホルダーとして捉えています。
ユニ・チャームグループのステークホルダー
ステークホルダーとのコミュニケーション
ステークホルダー | コミュニケーション方針 (信念と誓い) |
コミュニケーション方法 | 頻度 | 対話のテーマ例 |
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お客様 |
我が社は、常に全力で尽くし続けることによって、No.1のご支持をいただくことを誓います。 |
お客様相談窓口、グループインタビュー、モニター調査、展示会・セミナー、Webサイト、各種SNSアカウント |
随時 |
商品に関する品質・安全・機能、商品・サービスに関するご意見と対応 |
株主・投資家 |
我が社は、業界一級の利益還元を、実現することを誓います。 |
株主総会 |
年1回 |
決算概要説明、健全な企業経営 |
決算発表・説明会 |
年4回 |
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投資家との個別対話、海外IR活動 |
随時 |
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お取引先 |
我が社は、公平で公正な関係を保つことによって、お互いの健全な成長の実現を誓います。 |
成長戦略共有会 |
年2回 |
商品・サービスの提案、サプライチェーンマネジメント、品質、安全、環境 |
展示会・イベント |
随時 |
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中長期方針説明会 |
年1回 |
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アンケート・監査 |
随時 |
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社員 |
我が社は、一人ひとりに自信と誇りを提供し、社員およびその家族の幸福を実現することを誓います。 |
共振の経営実践会議 |
週1回 |
待遇、健康、仕事の満足度、多様性を尊重する制度や活用事例の紹介 |
社員意識調査 |
年1回 |
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労使協議、社員相談窓口、家族工場参観日、社内イントラネット・社内報 |
随時 |
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社会 |
我が社は、全ての企業活動を通じて、そこに携わる人々、および社会全体の、経済的かつ精神的充足に貢献することを誓います。 |
地域社会での活動、行政・自治体・NGO/NPO団体との協働、業界団体での活動 |
随時 |
災害支援、排泄ケア、健康増進、保健衛生、現地雇用、事業活動を通じた連携 |