サステナビリティマネジメント
ESG担当役員からのメッセージ
ユニ・チャーム株式会社
上席執行役員 ESG本部長
上田 健次
自然環境問題や社会課題への対応や適切なガバナンスを維持し、
持続的な企業価値の向上を目指して一層の取り組み強化を進めます
ユニ・チャームは、「SDGsの実現」に貢献することをパーパス(存在意義)に掲げ、事業活動を通じて環境問題や社会課題の解決に取り組んでいます。ここで、いくつかの取り組みについてご紹介します。
まず、中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」と連動し、より自然環境分野に特化した中長期ESG目標「環境目標2030」では、「プラスチック問題対応」「気候変動対応」「森林破壊に加担しない(調達対応)」という3つの重要課題と目標を掲げています。この3分野への取り組みは当社の事業継続と強く関連しており、目標達成は事業成果にも大きく影響を及ぼすと考えています。
「プラスチック問題対応」では、包装材の薄膜化や店頭販促物の紙素材への切り替えなどにより、資材コストを低減しながらプラスチック使用量の削減を進めています。また、「気候変動対応」では、PPA(Power Purchase Agreement/電力購入契約)方式を活用して太陽光発電システムを導入し、再生可能電力の比率を向上させることにより、GHG排出量削減とエネルギー価格上昇によるコスト増を抑制しています。そして「森林破壊に加担しない(調達対応)」では、紙パンツ(紙おむつ)や生理用品の主原料のひとつであるパルプの森林認証材の調達拡大をグループ全体で進めています。
このような取り組みもあり、CDPの2024年度評価は「気候変動」「フォレスト」「水セキュリティ」の3分野すべてにおいて最高評価となるAリストに選定されました。
最後にガバナンスについては、透明・公正かつ迅速・果断な経営を基本とし、コンプライアンスの徹底やリスクマネジメントの強化を図っています。当社が事業を展開する国・地域は世界中に広がっており、それぞれの国・地域の法令遵守はもちろん、時機に応じたリスク認識と対応を機敏に講じることができるマネジメント体制の確立にも取り組んでいます。
今後も、私たちユニ・チャームは、自然環境問題や社会課題への対応、適切なガバナンスを維持することが、持続的な企業価値向上に必須であることを念頭に、一層の取り組み強化を進めます。また、国際的な基準に沿った情報開示を拡充し、お客様、株主、お取引先、社員とその家族、地域社会といったすべてのステークホルダーから信頼していただける企業へと成長することを目指します。
*1「Jagriti」はヒンディー語で「目覚め」の意。
*2 妊娠についての知識を身につけることや、家族などとの話し合い、妊娠にあたって自分の身体の現状把握、医療による不妊治療をすることなどといった一連の活動のこと。
マネジメント体制
サステナビリティ推進体制
当社では、サステナビリティマネジメントを着実に実行すべく適切な体制を構築しています。具体的には、社長執行役員を委員長とするESG委員会を年4回開催し、サステナビリティ全般およびガバナンスに関する方針や活動内容について審議・決定し、その進捗状況のモニタリングを行います。ESG委員会には、取締役や執行役員といった経営層に加えて、営業部門や開発部門、マーケティング部門、コーポレート部門、国内外の連結子会社の責任者が出席することで、決定したサステナビリティ関連の諸活動を迅速に実行できる体制を構築しています。なお、ESG委員会での審議・決定内容については、取締役会に年1回以上報告しています。
サステナビリティ推進体制
ESG委員会の役割、実績
役割 |
・中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」および中期経営計画に関する進捗状況の審議・決定 ・グループ全体のサステナビリティに関するリスクと機会および重要課題の特定と対応、情報開示に関する審議・決定 ・同委員会で審議・決定した内容を年1回以上取締役会に報告 |
|
---|---|---|
2024年度実績 | 開催回数 |
4回(2月、5月、8月、11月) |
主な討議テーマ |
中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」「環境目標2030」および中期経営計画に関する進捗状況 ・「GHG排出量可視化プロジェクト」について ・持続可能性に貢献する社内基準「SDGs Theme Guideline」の運用について ・生物多様性に関する情報開示について ・統合レポート、サステナビリティレポートの制作方針、進捗について ・ESGの外部評価に関する情報の共有 ・CSA(Control Self-Assessment/統制自己評価)と内部監査計画 |
ESG 委員会における主な取り組みテーマと分類
ISO26000 中核主題 |
組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティ参画および開発 |
---|---|
主な取り組みテーマ | |
E |
・プラスチック問題:プラスチック使用量削減 ・気候変動リスク:温室効果ガス削減、エネルギー使用管理 ・水リスク:水使用量削減、汚染防止 ・汚染と資源:廃棄物削減、資源使用、リサイクル、汚染防止 ・サプライチェーン:サプライヤー方針、環境問題、持続可能な森林資源・パーム油調達 ・生物多様性:森林由来原料、パーム油 ・環境配慮型商品の開発 |
S |
・労働基準:児童労働の禁止、強制労働の禁止、差別禁止、結社の自由、団体交渉権、最低賃金、ハラスメントの防止 ・社員の健康と安全 ・人権:デュー・ディリジェンス、子どもの権利、児童労働の禁止、地域雇用、苦情処理 ・社会:コミュニティ投資、社会貢献活動 ・顧客に対する責任:責任ある広告とマーケティング、顧客満足 ・サプライチェーン:児童労働の禁止、強制労働の禁止、差別禁止、結社の自由、団体交渉権、最低賃金、健康安全、デュー・ディリジェンス、能力開発 ・商品品質、商品安全 |
G |
・腐敗防止:贈収賄、インサイダー取引、内部通報制度、教育、リスク評価 ・コーポレート・ガバナンス ・全社的なリスクマネジメント:環境、社会、コーポレート・ガバナンス ・コンプライアンス ・税の透明性 |
ステークホルダーとのエンゲージメント
当社は、「“信念と誓い”と企業行動原則」と「マルチステークホルダー方針」において、お客様、株主・投資家、お取引先、社員、社会から信頼される誠実な企業活動を行うことを誓い、さまざまな機会を通じて、ステークホルダーの皆様とエンゲージメントを深める活動を行っています。また、衛生的な生活に欠かせない消費財を提供する企業として、地球環境や国際社会、次世代も重要なステークホルダーとして捉えています。
ユニ・チャームグループのステークホルダー
ステークホルダーとのコミュニケーション
ステークホルダー | コミュニケーション方針 (信念と誓い) |
コミュニケーション方法 | 頻度 | 対話のテーマ例 |
---|---|---|---|---|
お客様 |
我が社は、常に全力で尽くし続けることによって、No.1のご支持をいただくことを誓います。 |
お客様相談窓口、グループインタビュー、モニター調査、展示会・セミナー、Webサイト、各種SNSアカウント |
随時 |
商品に関する品質・安全・機能、商品・サービスに関するご意見と対応 |
株主・投資家 |
我が社は、業界一級の利益還元を、実現することを誓います。 |
株主総会 |
年1回 |
決算概要説明、健全な企業経営 |
決算発表・説明会 |
年4回 |
|||
投資家との個別対話、海外IR活動 |
随時 |
|||
お取引先 |
我が社は、公平で公正な関係を保つことによって、お互いの健全な成長の実現を誓います。 |
成長戦略共有会 |
年2回 |
商品・サービスの提案、サプライチェーンマネジメント、品質、安全、環境 |
展示会・イベント |
随時 |
|||
中長期方針説明会 |
年1回 |
|||
アンケート・監査 |
随時 |
|||
社員 |
我が社は、一人ひとりに自信と誇りを提供し、社員およびその家族の幸福を実現することを誓います。 |
共振の経営実践会議 |
週1回 |
待遇、健康、仕事の満足度、多様性を尊重する制度や活用事例の紹介 |
社員意識調査 |
年1回 |
|||
労使協議、社員相談窓口、家族工場参観日、社内イントラネット・社内報 |
随時 |
|||
社会 |
我が社は、全ての企業活動を通じて、そこに携わる人々、および社会全体の、経済的かつ精神的充足に貢献することを誓います。 |
地域社会での活動、行政・自治体・NGO/NPO団体との協働、業界団体での活動 |
随時 |
災害支援、排泄ケア、健康増進、保健衛生、現地雇用、事業活動を通じた連携 |