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社長メッセージ

「やさしさ」を提供する企業として、全社員で「共生社会」の実現を目指します。

ユニ・チャームが描く「共生社会」

代表取締役

社長執行役員

高原 豪久

ユニ・チャームは、「持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献すること」をパーパス(存在意義)とし、その具現化のためのミッション(使命)に「『共生社会』の実現」を掲げています。「共生社会」とは、一人ひとりが自立しつつ、互いに尊重しながら適度な距離感で助け合う、誰ひとり取り残されることなく、自分らしく暮らし続けられる社会です。人は一人では生きられません。利他の心を持ち、国や地域など所属の垣根を越え、地球全体の持続可能性の向上に貢献していくことが「共生社会」の実現、ひいてはSDGsの達成に必要です。そして、その実現に向けて、消費財メーカーでありグローバルに事業を営む当社が果たせる役割は大きいと確信しています。
近年、気候変動や人権問題など、地球規模での課題が浮き彫りとなりました。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行やウクライナ紛争などによる新たなリスクも顕在化しました。多くの人が、自分が大事にしている価値観や安全・安心が当たり前ではないことに改めて気づかされ、環境問題や社会課題を“自分事”として捉え直したのではないでしょうか。換言すれば、当社が目指す「共生社会」の実現について、より多くの人が考える時代になったということです。
当社は、不織布・吸水体の加工・成形技術によって、コーポレート・スローガンに掲げた「NOLA & DOLA(Necessity of Life with Activities & Dreams of Life with Activities)」 を具現化し、さまざまな「不~不快・不便・不衛生など~」の解消と、「快~新たな心地よさ~」を、新しい「やさしさ」によって提供することで、人々に貢献してきました。多くの人が環境問題や社会課題を“自分事”として考えている現在において、当社の商品・サービスはお客様にとって価値あるものとしてだけでなく、環境や社会にとっても「やさしい」ものであるべきと考えています。また、環境問題や社会課題の解決に貢献することは消費財メーカーとしての責務でもあります。継続的な事業成長の観点からも、私たちは常に新しい価値創造に挑み続け、「共生社会」の実現を目指します。

中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030」の推進

「共生社会」の実現を目指す上で、当社は「世界中の赤ちゃんからお年寄りまで全ての生活者とパートナー・アニマル(ペット)が、心身・社会・地球の健康を実感できる社会インフラを提供する企業」を理想の将来像としました。あるべき理想像と現状のギャップから重要課題を特定し、2030年までにすべきこととしてまとめたものが、2020年10月に公表した中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030 ~ For a Diverse, Inclusive, and Sustainable World~」( 以下、「Kyo-sei Life Vision2030」)です。「Kyo-sei Life Vision 2030」は、「私たちの健康を守る・支える」「社会の健康を守る・支える」「地球の健康を守る・支える」に「ユニ・チャームプリンシプル」を加えた4分野で、各分野につき5つ、合計20の重要取り組みテーマ・指標・目標を設定しています。

「私たちの健康を守る・支える」では、全ての人が「自分らしさ」を実感し、日々の暮らしを楽しむことができる社会の実現に貢献する商品・サービスの展開を目指しています。「社会の健康を守る・支える」では、提供する商品・サービスを通じて、お客様の安全・安心・満足の向上と、社会課題の解決や持続可能性への貢献の両立を目指しています。「地球の健康を守る・支える」では、衛生的で便利な商品・サービスの提供と、地球環境をより良くする活動への貢献の両立を目指しています。そして、「ユニ・チャーム プリンシプル」では、全てのステークホルダーから信頼を得られるような公正で透明性の高い企業運営を目指しています。つまり、「Kyo-sei Life Vision 2030」を着実に実行することは、環境問題や社会課題の解決、消費者や地域社会への貢献、継続的な事業成長を同時に実現することにつながります。

具体例をご紹介します。環境問題の解決に貢献する取り組みのひとつとして「使用済み紙おむつのリサイクル」があります。ごみの分別やリサイクルが当たり前になりつつありますが、使用済みの紙おむつは衛生上の問題などから、その多くを焼却処分しています。しかしながら、高齢化に伴って大人用紙おむつの需要が拡大しており、原材料である森林資源の消費、ごみの増加、焼却時に出る温室効果ガス排出量の増加など、環境への負荷が増大しています。当社は紙おむつのリーディングカンパニーとしての責任を果たすべく、2015年に使用済み紙おむつのリサイクルプロジェクトを開始しました。鹿児島県の志布志市や大崎町などの自治体と連携して実証実験を進め、回収した使用済み紙おむつを洗浄・分離し、取り出したパルプに独自のオゾン処理を施すことで、未使用のパルプと同等に衛生的で安全なパルプとして再利用できる「水平リサイクル」システムを実現しました。2022年には鹿児島県内の一部の介護施設において、吸水紙の一部にリサイクル材を活用した大人用紙おむつのテスト使用を開始しました。2023年中の商業運転に向けて取り組んでおり、さらに今後は海外へ展開できるリサイクルモデルの構築を目指しています。

社会課題の解決に貢献している商品の例では、口元を透明にした『unicharm 顔がみえマスク』があります。コロナ禍でマスク着用が常態化する中、聴覚に障がいのある社員からの提案が開発を行うきっかけとなりました。この商品は口元が隠れることに不便を感じていた接客や教育現場でも活用され、円滑なコミュニケーションに役立っています。

上述は取り組みの一部に過ぎませんが、このような事業を通じた環境問題・社会課題の解決への貢献が評価され、2022年12月には「東京都『心のバリアフリー』サポート企業」の認定を受け、2023年3月には「令和4年度 消費者志向経営優良事例表彰 内閣府特命担当大臣表彰」を受賞しました。私たちの取り組みがお客様以外からもご評価いただけたことを大変うれしく思います。

このような環境や社会に「やさしい」商品やサービスが、生活の中に当たり前のように浸透し人々に利用されることが、「共生社会」の実現に向けた第一歩だと考えています。

人材と組織全体の力を最大化する仕組み

「Kyo-sei Life Vision 2030」を着実に進める上で重要なことは、担い手である社員の納得です。なぜならば、“自分事”になっていなければ、一過性の取り組みで終わってしまうおそれがあるからです。一人ひとりが目指す方向性を理解・納得・共感しているかどうかによって、このような中長期的な取り組みが継続できるか否かが変わってきます。私は社員が本気になって取り組むことが「共生社会」を実現するための鍵を握っていると考えています。

しかしながら、世界各地で活動する約3万人の社員を、ひとつの方向へと導くのは容易ではありません。この課題に対し、当社では独自のマネジメントモデルである「共振の経営」を全社員で実践することで解決しようとしています。「共振の経営」とは、経営陣と現場社員が繰り返し議論を重ねることで、経営陣は「現場の知恵」を経営に活かし、現場の社員は「経営の視点」を学ぶことによって、組織全体の力を最大化させながら個人が主体的・能動的に取り組むものです。「共振の経営」を実践することによって、経営の両輪である「業績達成」と「人材育成」をバランスよく回すことができます。

この「業績達成」と「人材育成」を両輪として回すという観点を踏まえて、2020年に執行役員の業績連動報酬を決定する評価指標にESG項目を取り入れました。また、年に1度の頻度で実施している「社員意識調査」においても、「日々の業務を通じて環境問題や社会課題解決に貢献したい」といった声が多く集まったことを踏まえて、2023年1月からは全社員の評価にも組み入れました。一人ひとりの環境・社会・ガバナンスへの活動を把握できるようになり、さらに「共生社会」の実現に向けた取り組みが加速しています。

30年先を見据えて

当社の挑戦は一朝一夕で実現できるものではありません。「Kyo-sei Life Vision 2030」の達成や「共生社会」の実現を目指す中で、当社を取り巻く外部環境も刻一刻と変わるでしょう。その中で、私たちは常に未来を予測し、常に自身の判断が正しい方向へ向かっているかを問う必要があります。このため、当社は「OODA-Loop(ウーダ ループ)」メソッドを導入し、変化に合わせて計画そのものや、やり方を見直していく手法を採用しています。自律した社員がスピード感を持って観察・判断・決定・行動できる仕組みが、変化に強いマネジメントサイクルの実現につながっています。

当社には「NOLA & DOLA」を体現する商品、「共振の経営」「OODA-Loop」をはじめとする仕組み、自律した人材など、数多くの資産や強みがあります。しかし、これらに満足せず、進化させ続けることが私の役目です。全社一丸となってお客様や社会の期待に応え、さまざまな「やさしさ」を提供し続けることで、SDGsの達成に貢献し、「共生社会」の実現を目指します。

2023年5月

ユニ・チャーム株式会社

代表取締役 社長執行役員

高原 豪久

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