1. 総合TOP
  2. サステナビリティ
  3. 社長メッセージ

社長メッセージ

ユニ・チャームならではの価値を提供し、「共生社会」の実現を目指す

ユニ・チャームの価値観「Love Your Possibilities」

代表取締役

社長執行役員

高原 豪久

 ユニ・チャームは、2024年2月にコーポレート・ブランド・エッセンス「Love Your Possibilities」を発信しました。この「Love Your Possibilities」には、全ての人が秘めている限りない可能性を信じ、その可能性を慈愛にあふれた利他の心で発揮することによって互いに支え合う「共生社会」の実現に貢献したいという当社の想いを込めています。

 これまで当社は、不織布・吸収体の加工・成形技術の専業メーカーとして、生理用品や紙パンツ(紙おむつ)といった商品と、それらに付随するサービスを通じて、不快、不便、不衛生といった「不」の解消と、生きる喜びや楽しさといった夢の実現への貢献という、当社でなければ生み出せない価値を提供してきました。しかし、「人生100年時代」といわれる現在、当社に求められているのは、生活者一人ひとりの生涯に寄り添うことで人生を豊かにすること、つまりライフタイムバリュー(顧客生涯価値)をより大きくする商品やサービスを提供することへの進化だと考えています。そのためには、『ソフィ』や『ライフリー』『マミーポコ』といったプロダクトブランドを有機的に連携することが重要と判断し、「Love Your Possibilities」というコーポレート・ブランド・エッセンスを打ち出すことにしました。

中長期ESG目標への取り組みが「『共生社会』の実現」につながる

 先述の「利他の心」の「他」あるいは「Love Your Possibilities」の「Your」には、私たちを取り巻く社会や自然環境も当然含まれます。なぜなら、社会課題や環境問題に対応することは、バリューチェーンの持続可能性確保や顧客ニーズに応えるといった事業活動そのものだからです。その想いを形にしたものが、2020年10月から取り組んでいるユニ・チャームグループ中長期ESG目標「Kyo-sei Life Vision 2030 ~For a Diverse, Inclusive, and Sustainable World~」(以下、「Kyo-sei Life Vision 2030」)です。「Kyo-sei Life Vision 2030」は、「私たちの健康を守る・支える」「社会の健康を守る・支える」「地球の健康を守る・支える」「ユニ・チャーム プリンシプル」の4分野に各5つ、合計20の重要取り組みテーマ・指標・目標から成り立っており、社員が日々の事業活動を通じて「Kyo-sei Life Vision 2030」に積極的に取り組むことで環境問題や社会課題の解決を促し、「共生社会」の実現へとつながります。

 具体例をいくつかご紹介します。「社会の健康を守る・支える」取り組みとして、世界的な少子化という課題に対し、数年前より妊娠活動*1をサポートする商品・サービスの開発を進めてきました。そして、2023年11月に妊娠を希望しているものの、妊活に適したタイミングが分からないという悩みを抱えている方に対して、『ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート』を発売しました。女性の分泌物であるおりものをモニタリングし、一番妊娠しやすいタイミングをお知らせするという商品です。着想から発売まで約7年かかりましたが、お客様の希望を叶えるという観点で社会的意義が大きい商品だと考えています。

 また、「地球の健康を守る・支える」取り組みとして、使用済み紙パンツの水平リサイクル事業である「RefF(リーフ)*2」プロジェクトをご紹介します。当社の主力商品である紙パンツは衛生上の問題により、使用後はごみとして焼却処分されることが一般的です。このため廃棄物量の増加といった社会課題と、焼却に伴うCO2の排出などの環境課題を抱えています。当社では、鹿児島県志布志市(2016年度)ならびに曽於郡大崎町(2018年度)との協業の下、使用済み紙パンツのリサイクル事業に取り組み、2022年5月には再生パルプを原材料の一部に用いた大人用紙パンツ『ライフリーRefF 横モレ安心テープ止め Mサイズ』の商品化を実現しました。2023年10月には、サイズとLサイズを追加投入し、九州地区の病院・介護施設でご利用いただいています。また、自治体や介護施設からの回収に加えて、当社の紙おむつ定額サービス「手ぶら登園*3」を導入している保育施設からも使用済み紙おむつの回収を行っています。

 このように使用済み紙パンツを効率的に回収する仕組みの整備を着実に進めており、徐々に成果も見えてきました。しかし、私たちが最終的に目指すのは、使用済み紙パンツのリサイクルが当たり前となった社会をつくることであり、道のりはまだ半ばと考えています。紙パンツの新たなライフサイクルを構築するには、自治体や他企業・団体との協働が欠かせません。また消費者の皆様からリサイクル商品に対する適切な理解を得ることが肝要です。今後もさまざまなステークホルダーの皆様と協力しながら、RefFプロジェクトの社会実装を目指します。

*1 妊娠についての知識を身につけること、家族などとの話し合い、妊娠にあたって自分の身体の現状把握、医療による不妊治療などといった一連の活動のこと

*2 Recycle for the Futureの頭文字

*3 保護者の紙おむつやおしりふきの準備やかさばる荷物を持っての登園、保育士の紙おむつやおしりふきの管理業務など、保護者・保育士双方の負担を軽減する保育施設向けベビー用紙おむつやおしりふきの定額サービス

人材こそが企業価値最大化の源泉

 「Kyo-sei Life Vision 2030」の達成の鍵を握るのは人材であり、人材こそが当社の価値を最大化する源泉と確信しています。当社のマネジメントモデル「共振の経営」は、経営陣と現場社員が双方の視点を知り、経営と業務に活かすことで、一人ひとりの主体的な行動を生み出す仕組みです。当社では「Kyo-sei Life Vision 2030」を主体的かつ能動的な目標に落とし込むことを目的として、2023年1月から社員全員の評価指標にESG項目を取り入れました。社員一人ひとりが「Kyo-sei Life Vision 2030」について主体的に考え、行動することによって、それぞれの国や地域の特性に合わせた独自価値を提供することができると考えています。

 今後も、ユニ・チャームグループの社員全員が自らの可能性を信じ、その可能性を利他の心で最大限に発揮し、環境問題や社会課題の解決に取り組むことで、「共生社会」の実現を目指します。

2024年5月

ユニ・チャーム株式会社

代表取締役 社長執行役員

高原 豪久

このページをシェアする