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社外取締役メッセージ

取締役には、ユニ・チャームの現在地と、これから生まれ得る課題とリスク、チャンスを的確に理解した上で、それに見合った「あるべきガバナンス」の要件とは何かを常に意識することが肝要であると考えています

取締役 監査等委員(社外取締役)

杉田 浩章

 企業が株主をはじめとするステークホルダーから高い信頼を得て、維持し続けるには適切なガバナンスが不可欠です。世の中の環境が激しく変化し、将来への不確実性が高まっている中、企業にとって適切なガバナンスの重要性がますます高まっていることは論を俟たないと思います。

 ユニ・チャームは、持続的成長を求めて新興国へと事業機会を広げるとともに、すでに参入している国・地域においても事業領域を拡大し続けています。それらによって生まれるリスクやチャンスを未然に察知し迅速な手を打っていくことが、当社には求められています。ガバナンスを効かせなければならない対象も多岐にわたります。市場リスク、グローバルに広がる社員のエンゲージメント、コンプライアンスリスク、投資や資本効率、キャッシュ・フローをはじめとした財務の健全性などリスクサイドのチェックはもちろん、新たな市場機会に対して適切なタイミングで思い切った投資などの意思決定が行えているか、競合他社の戦略やアクションに対応できているか、人的資本をはじめとする自社のアセットの最適な活用ができているかなど、オポチュニティサイドへの目配りも欠かせません。

 具体的には、以下のようなテーマが挙げられます。

  • 「Love Your Possibilities」の追求による、生活者の生涯価値を最大化する商品・サービスの拡大を通じた「共生社会」の実現。
  • インドや中東、ニューワールドプロジェクトによるアフリカでの新興国マーケットの拡大。ユニ・チャームの競争力の源泉である、市場のニーズを先回りして読み解く優れた洞察力、生活者の潜在ニーズを起点とした高い商品開発力、商品やサービスを各国・各市場に最適な方法で届けるサプライチェーンの構築力を活かしてマーケットの拡大を実現する、グローバルレベルでの組織能力の向上。
  • 循環型社会の実現を目指して実証実験を進めているRefFプロジェクトの本格的な社会実装の加速。

 これらの骨太なテーマすべてにおいて、高次のレベルで社会的価値と財務価値のバランスを取っていくことが求められており、今まで以上に経営の舵取りが難しくなっていくと思われます。このような状況を踏まえると、私は取締役には、ユニ・チャームの現在地と、これから生まれ得る課題とリスク、チャンスを的確に理解した上で、それに見合った「あるべきガバナンス」の要件とは何かを常に意識することが肝要であると考えています。取締役会においても、上記のテーマを執行サイドと十分に連携・共有しながら、リスクサイド、オポチュニティサイドの両方からの論点や視点、あるいは意見を提示していくことが重要という認識を持って議論を活性化してきました。

 私個人としても、ボストン コンサルティング グループの経営に携わってきた経験に加え、数多くの企業の持続的な成長に向けた変革のお手伝いをしてきた知見を活かして、社外取締役として積極的に取り組んでいきます。

「データ&デジタル」を駆使してひとつの事象を多角的に分析し、多様なバックグラウンドを持つメンバーとともに既存の枠組みを超えたディスカッションを行うことで、これまで築き上げてきたユニ・チャームの独自性をさらに高く飛躍させることができると考えています

取締役 監査等委員(社外取締役)

ルゾンカ 典子

 私はこの数年、ユニ・チャームにおける社外取締役として、取締役会や戦略討議の場などで、ユニ・チャームの信頼性と持続可能な成長を支えるガバナンス、内部統制と透明性の向上のために積極的にディスカッションに参加してきました。多様なステークホルダーの立場を考えながら発言し、時には、一度立ち止まって熟慮すべきポイントを共有し、中長期目線での攻めのコメントを数多くしました。このように建設的な議論を進めながら集団思考に陥ることを回避し、新しい視点やイノベーションを促す役割を果たしてきました。このディスカッション手法は「Devil’s Advocate*」として知られ、マネジメントの会議において非常に有効であると感じています。また、自由闊達なディスカッションができるマネジメントレベルの会議は、透明性の確保においても大変有効です。

 実際に現場でイノベーションを促進し、消費者の潜在ニーズを的確に捉えるには、ユニ・チャームの価値創造の根幹となる「Love Your Possibilities」を、持続可能な形で具現化することが重要です。そのために不可欠なのは、「ダイバーシティ」と「データ&デジタル」を最大限に活用することです。「データ&デジタル」を駆使してひとつの事象を多角的に分析し、多様なバックグラウンドを持つメンバーとともに既存の枠組みを超えたディスカッションを行うことで、これまで築き上げてきたユニ・チャームの独自性をさらに高く飛躍させることができると考えています。また、アジア諸国を中心にビジネスを幅広く展開しているユニ・チャームだからこそ、実現可能なのだと思います。

 ユニ・チャームの強みであるマーケティングリサーチやイノベーションといった、いわば「顧客との共創」によって、第12次中期経営計画「Project-L」や「Marketing by DX (MDX)」も始動しました。「データ&デジタル」によってさらに意思決定のスピードを上げ、自身の可能性を信じ、楽しんで、新しい世界を広げていきましょう。

Love Your Possibilities!

* ディスカッションなどで、議論を深めるために、あえて反対の意見を述べること。

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