重要取り組みテーマ:地球の健康を守る・支える
衛生的で便利な商品・サービスの提供と、地球環境をより良くする活動への貢献の両立を目指します。
基本的な考え方・方針
地球環境への負荷軽減は喫緊の課題であり、持続可能な社会実現のため企業が果たす役割はますます大きくなっています。ユニ・チャームは、「地球の健康を守る・支える」ことが当社の永続的な事業発展に必要と認識し、グループを挙げて取り組む環境関連目標を「Kyo-sei Life Vision 2030」と「環境目標2030」で具体的に定め、これを推進しています。衛生的で便利な商品・サービスの提供を通じて、「地球の健康を守る・支える」活動へと発展させるイノベーションを目指します。
2022年実績について
当社は、原材料調達から製造、廃棄までのバリューチェーン全体でCO2排出量の削減に取り組んでいます。当社が直接排出するCO2の大半は「Scope2:製造時の電力使用等」であることを踏まえ、「気候変動対応」について、当社が事業展開に用いる全ての電力を2030年までに再生可能電力※へ100%切り替えることを目標に設定し、着実に推進しています。2022年の再生可能電力比率は、グループ全体で11.0%を達成し、約30,000tonのCO2排出量を削減しました。また、「環境配慮型商品の開発」「リサイクルモデルの拡大」では、2015年から技術開発や実証実験を実施している「使用済み紙おむつのリサイクル」を継続的に推進し、2022年6月には鹿児島県内の一部の介護施設において吸水紙の一部にリサイクル材を使用した大人用紙おむつ『ライフリー』のテスト使用を開始しました。「プラスチック使用量の削減」では、商品設計段階でのうす型化に加え、植物由来原料を使用した商品の開発や、包装材の薄膜化と紙パッケージの採用、販促物の紙素材への切り替えなどにより石化由来プラスチック使用量の削減に取り組みました。
- 風力や太陽光、バイオマス、小規模水力などの自然エネルギーで発電された電力
気候変動対応
取り組みの背景
年々高まる気候変動の影響が深刻さを増す中、当社はCO2排出量の削減が優先的に取り組むべき環境課題であると認識しています。このため、パリ協定の2℃シナリオに貢献すべく、2018年6月にSBT(Science Based Targets/科学的根拠に基づく目標)イニシアチブより2045年までの削減計画に対する認定を受けました。現在は、1.5℃目標での申請を検討しています。
主な取り組み・活動事例
再生可能電力への切り替え
【日本】 2022年3月に埼玉工場、4月に三重工場とペパーレット株式会社の静岡県内3工場の合わせて5つの工場において、「トラッキング付き非化石証書※」を活用した再生可能電力へ切り替えました。これにより、5工場の年間使用電力量の100%(約2,200万kWh)が実質的に再生可能電力となり、年間約9,500tonのCO2排出量が削減されます。
【中国】 2022年4月に中国現地法人の天津工場と江蘇工場で太陽光発電を開始しました。これにより、2工場の年間使用電力量の約25%(約1,300万kWh)が再生可能電力に切り替わり、年間約9,300tonのCO2排出量削減を目指しています。
【インドネシア】 2022年7月にインドネシア現地法人のカラワン第一工場で、太陽光発電設備の第一期設置が完了し、発電を開始しました。これにより、年間使用電力量の約11%(約800万kWh)が再生可能電力に切り替わり、年間約7,200tonのCO2排出量削減を目指しています。
- 非化石電源で発電された電気の非化石価値を切り離して証書化した非化石証書の中でも、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギー由来であるもの。
環境配慮型商品の開発/リサイクルモデルの拡大
取り組みの背景
超高齢社会の日本において、紙おむつの使用量は年々増加しており、家庭から排出されるごみのうち、使用済み紙おむつの重量は2030年には全体の7%程度になると想定されています。また、2020年3月に環境省から「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」が公表され、リサイクルに注目が集まっています。当社は、ごみ焼却コストとCO₂排出量、資源の有効活用などを改善する取り組みを「紙おむつメーカーが果たすべき責任」であると考え、2015年から使用済み紙おむつのリサイクル事業化に向けた取り組みを開始し、技術開発や実証実験に取り組んでいます。
主な取り組み・活動事例
【日本】独自の使用済み紙おむつリサイクルシステム
当社は、“Recycleを通じて新しい未来を創造する”ことを目指すRefF(リーフ)※プロジェクトの第一弾として、使用済み紙おむつを新しい紙おむつへリサイクルする水平リサイクルに取り組んでいます。
当社の使用済み紙おむつリサイクルは、回収した使用済み紙おむつを洗浄・分離し、取り出したパルプに独自のオゾン処理を施して排泄物に含まれる菌を死滅させ、未使用のパルプと同等に衛生的で安全なパルプとして再生するシステムです。
本事業は鹿児島県志布志市および大崎町と実証実験を展開しており、2022年6月に、鹿児島県内の一部の介護施設で、吸水紙の一部にリサイクル材を使用した大人用紙おむつ『ライフリー』のテスト使用を開始しました。今後は、日本だけでなく海外へ展開できるリサイクルモデルを構築し、2030年までに10以上の自治体に導入することを目標にしています。
- RefFはRecycle for the Futureを意味する造語
使用済み紙おむつリサイクル
100人分の使用済み大人用紙おむつを、1年間にわたり焼却処分した場合と、リサイクルした場合の比較
また、多くの方にRefFプロジェクトに触れていただく機会を増やすことで「紙おむつのリサイクルは当たり前」の未来を実現したいと考えています。そこで、未来を担う子どもたちが、世界最先端のリサイクル技術を学び、資源の有効利用について考えるきっかけにしてほしいという想いから、2022年11月に鹿児島県志布志市立志布志小学校の5年生を対象に特別授業を実施しました。特別授業では、使用済み紙おむつのリサイクル技術の紹介と、使用済み紙おむつから抽出・再生したリサイクルパルプで作った「紙ねんど」を使った図工の授業を行い、使用済み紙おむつからリサイクルされたパルプの品質や安全性、環境への配慮などについて学ぶ機会を創出しました。
特別授業の様子
リサイクルパルプ「紙ねんど」の作品
プラスチック使用量の削減
取り組みの背景
「海洋プラスチックごみ」は生分解しないため、長期にわたり海に残存し、自然環境や生物多様性にさまざまな影響を及ぼします。当社は、プラスチックを使用するメーカーの責任として持続可能なサーキュラー・エコノミーへの転換を目指し、2022年5月、WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)が呼びかける「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」に参画しました。「Kyo-sei Life Vision 2030」「環境目標2030」で設定したプラスチック使用量削減に加えて、販促物におけるプラスチック使用量を2025年までに50%削減(基準年2019年)する目標を新たに設定し、プラスチック問題対応を加速しています。
主な取り組み・活動事例
【インドネシア】『CHARM Herbal Ansept+ Bio』
インドネシアの現地法人では、2021年より「世界環境デー」に合わせて、環境配慮型商品の発売を継続しています。2022年は「バイオマテリアル※」が配合された素材を用いた生理用品『CHARM Herbal Ansept+ Bio』を期間限定品として発売しました。この商品は、肌に触れる表面シートとショーツと接するバックシート、個包装やパッケージに、従来廃棄されていたサトウキビの搾りかすを原材料に活用した「バイオマテリアル」素材を採用しています。これらの商品の発売を通じて、石化由来プラスチックの使用量を削減するとともに、インドネシアの消費者に対して、プラスチックごみの削減に貢献することを呼びかけています。
- プラスチック素材の一部をバイオマスプラスチックに変更した素材
【グローバル】販促物のプラスチック使用量削減
当社は、商品やパッケージだけでなく、小売店での商品陳列の際に使用する販促物においても、プラスチック使用量の削減を推進しています。販促物におけるプラスチック使用量を、2025年までに50%削減(基準年2019年)し、2030年までにはグループ全体でゼロにすることを目標に掲げて取り組みを進めています。具体的には、陳列用のフック器具や骨什器、POP等のプラスチックを紙素材へ切り替えることや、紙製ラックの開発などを進めています。
上述の取り組みなどにより、日本では、2022年の販促物におけるプラスチック使用量が2019年と比較して81.8%削減されました。日本での成功事例を海外へ展開することによって、グループ全体でプラスチックの使用量を削減します。
販促物におけるプラスチック使用量(日本)
紙製の販促物