1. 総合TOP
  2. 企業情報
  3. ニュースリリース一覧
  4. 2023年
  5. 女性の“おりもの”に排卵予測に必要な黄体形成ホルモン(LH)※1を発見 ~クレインバイオ社、京都看護大学と共同研究~

2023年10月19日

女性の“おりもの”に排卵予測に必要な黄体形成ホルモン(LH)※1を発見
~クレインバイオ社、京都看護大学と共同研究~

ユニ・チャーム株式会社(代表取締役 社長執行役員:高原豪久)は、女性の分泌物質である“おりもの”に、排卵日の予測に必要な黄体形成ホルモン(以下、LH)※1を発見しましたので、その成果について一部を報告します。

なお、本件はクレインバイオ株式会社(代表取締役社長:山本大輔)と千葉陽子教授(前・京都看護大学大学院看護学研究科、現・滋賀県立大学大学院人間看護学研究科)との共同研究によるものです。

 

  ※1:LH(Luteinizing Hormone)は、生殖システムにおいて重要なホルモンで、女性では卵胞の成熟と排卵、黄体の形成と維持に関与し、産生の調節に寄与します。

共同研究のまとめ

・共同研究から、“おりもの”に黄体形成ホルモン(LH)※1が含まれていることを発見しました。

・“おりもの”によって排卵日を判定する感度※2は86%であることが確認できました。

・「排卵日を含む6日間」※3に90%の割合でLHが分泌されることが確認できました。

共同研究の背景

妊娠を希望する女性(妊活女性)にとって、排卵日を事前に把握することは重要です。現在、一般的な排卵日の予測方法は、専用の検査キットで尿中のLHを確認するものです。この方法は比較的簡便であるものの、毎朝起床直後に測定する必要があるなど、一部の利用者にとって「朝の忙しい時間が奪われる」などが負担であることがわかりました。※4このような妊活女性の生活実態を踏まえ、時間に縛られることなく排卵日を予測する方法を調査・研究することとしました。なお、調査・研究に際しては、クレインバイオ社および、京都看護大学との共同研究としました。

 

※2:感度とは、陽性を正しく陽性と判定できる割合。

※3:妊娠可能な時期のこと、また妊娠活動にはこの6日間を捉えることが重要である。

※4:2019年 ユニ・チャーム調べ

共同研究の概要

対象: 20 歳以上40 歳未満の月経関連の疾患を有さない女性16名(妊娠・出産経験は不問)

時期: 2019年5月~2020年9月(共同研究以降、学術論文発表に向けて準備)

方法: 以下の手順にて被験者のおりものに含まれる成分を抽出し測定・分析を行いました。

(1)被験者に尿の検体採取キット及び無香料のパンティライナーを支給し、月経後10 日目から月経後19 日目の尿とパンティライナーを回収。

(2)回収したパンティライナーの中心部を2 cm2切り取り、プロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した500 μlのPBS(リン酸緩衝食塩水)に含浸後、

   3,600 rpmの遠心操作によって抽出液を回収し測定検体とする。

(3) 尿及びおりもの中のLHはELISA法(酵素結合免疫吸着測定法)により測定を実施。また、検体の濃度の外的要因を除外するため、尿中クレアチニン

   をELISA法により、おりものは総タンパク量をBCA法(ビシンコニン酸法)により測定し、補正を実施。

共同研究の結果

・尿中のLHを基準として排卵日を定めた場合、おりもの中のLHは排卵日を含む6日間※3に90 %の割合で現れました。

・おりもの中にLHが見られる日とその前日を比較し、LHの強さを測定した結果、おりもの中のLHは0.15 mIU/mgにおいて感度86%でした。

 

 

【排卵日を含む6日間における、おりもの中のLHの発生割合】

 

 

【おりもの中に含まれるLHサージの強さ】

共同研究参加メンバー

クレインバイオ株式会社                              齋藤 敬太

                                                                 竹下 元

京都看護大学                                              千葉 陽子

                                                                 林 里沙子

 

ユニ・チャーム株式会社 共生社会研究所         吉政 渡    

                                                                 鈴木 裕哉

クレインバイオ社 齋藤 敬太氏のコメント

本プロジェクトをユニ・チャーム様と企画するにあたり先行研究の調査を実施したところ、おりものに関する研究が世界的に少なく、手付かずと言ってもいい状態にあることがわかりました。実際におりものを調べてみると、女性がご自身の身体を知るのに有用な成分が、含まれていることがわかりました。これは毎日トイレで測定する手間から妊活女性を解放することにつながる大きな発見であったと考えています。

今後も、ユニ・チャーム様と共に自分の身体を知る開発を続けて参ります。

千葉 陽子 教授(前・京都看護大学大学院看護学研究科、現・滋賀県立大学大学院人間看護学研究科)のコメント

膣から分泌される「おりもの」は、実は性ホルモンの影響による女性のからだの周期的変化を反映してくれている大切な物質です。今回の研究では、おりものから排卵前に分泌されるホルモンの変化を把握できることがわかりました。おりものからの情報を「科学的」にキャッチできるようになるのは画期的です。多くの女性が自分のからだの変化に今まで以上に関心を持ち、日々のセルフケアを充実させていくことを願っています。

《関連情報》

 

本研究は、2023年8月4日(金)配信したリリース『妊活タイミング※5をチェックできるおりものシート』の

開発検証に応用されております。

https://www.unicharm.co.jp/ja/company/news/2023/0804-01.html

 

※5:妊活に適したタイミングである「排卵時期を含む約6日間」のこと。

女性の”おりもの“と排卵予測に必要な黄体形成ホルモン(LH)の関係に関する調査・研究を通じて貢献する「SDGs 17の目標」

 

この研究は、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)で定めた17の目標のうち、下記に貢献すると当社では考えています。

 

3.すべての人に健康と福祉を

 

これからも、商品やサービスの提供といった事業活動を通じて、環境問題や社会課題を解決し、SDGsの達成に貢献することを目指します。

 <<本件に関するお問い合わせ先>>

一般報道機関の方は、ユニ・チャーム(株)ESG本部広報室   TEL:03-6722-1019

                                     Email:brand-pr@unicharm.com

   消費者の方は、ユニ・チャーム(株)お客様相談センター       TEL:0120-423-001 

このページをシェアする