重要取り組みテーマ:社会の健康を守る・支える
提供する商品・サービスを通じて、お客様の安全・安心・満足の向上と、社会課題の解決や持続可能性への貢献の両立を目指します。
基本的な考え方・方針
ユニ・チャームは、常にお客様である消費者の安全・安心・満足の向上を追求した商品・サービスを提供しています。そのためには、持続可能性に考慮した原材料調達や商品開発が欠かせません。当社は、サプライヤーの皆様と安全や品質、環境などに関する理念を共有するとともに、双方向のコミュニケーションで緊密な連携を図る協力体制を構築することで、バリューチェーン全体を通じて、社会課題の解決と持続可能性への貢献を目指します。
2022年実績について
「『NOLA & DOLA』を実現するイノベーション」とは、消費者をさまざまな負担から解放し、生きる楽しさ・喜びを実感できる商品・サービスを創出することを意味しており、このような付加価値を創出することは、社会的価値の提供や社会課題の解決に貢献することであると考えています。一例として、2022年は口元が見える『unicharm 顔がみえマスク』を、より快適なつけ心地となるよう改良し、マスクの着用が常態化した環境下におけるコミュニケーションの改善に貢献しました。「持続可能なライフスタイルの実践」では、当社の商品・サービスを常によりよいものへと成長させることを目的に、「より少ないインプット」で「より多くのアウトプット」を創出し、なおかつ「SDGsの達成に貢献する」といった3つの指標を設けた社内基準「SDGs Theme Guideline」の運用を継続しました。「持続可能性に考慮したバリューチェーンの構築」では、PEFC国際森林認証制度(Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes※)のCoC認証取得を拡大することで、持続可能性に配慮した森林資源の調達と生産を推進しました。「顧客満足度の向上」では、商品・サービスの提供を通じて、消費者からの支持を獲得している(=No.1シェア)商品・サービスの比率拡大に取り組みました。「安心な商品の供給」では、「OEKO-TEXⓇ(エコテックスⓇ)スタンダード100」の認証取得を通じて、安全・安心な商品の提供を推進しました。
- 1999年に発足した森林認証制度のひとつ。50を超える国・地域において認証制度を運用。
「NOLA & DOLA」を実現するイノベーション
取り組みの背景
当社は、全ての人が自立し、互いに助け合うことで自分らしく暮らし続けられる「共生社会」の実現を目指しています。
コロナ禍では感染対策としてマスクの着用が常態化し、顔を見ながらコミュニケーションをとることが難しくなりました。中でも、相手の口元の動きをコミュニケーションの参考にされる聴覚に障がいのある方は、マスクをしている相手とのコミュニケーションがとりづらいという問題が発生しています。このような問題を解決するために、当社は、マスクメーカーの社会的責任として、マスクに求められる飛沫抑制機能を備えつつ、口元や表情が見えるマスクを開発しました。
主な取り組み・活動事例
【日本】『unicharm 顔がみえマスク』
当社は、2021年にウイルス飛沫を対策しながら、口元が見える『unicharm 顔がみえマスク』を発売しました。聴覚に障がいのある方をはじめ、「感情伝達」や「言語教育」といったニーズのある保育園や幼稚園、学習塾などの教育現場、介護施設や接客業、報道機関などにおけるコミュニケーション改善にも活用されています。『unicharm 顔がみえマスク』は、透明部が広く、顔の70%※を視認できます。また、鼻から頬周りまで布部が顔にフィットしてスキマを作りにくいため、飛沫の飛散を抑えることができます。さらに、耳が痛くなりにくいワイドな耳かけを採用し、水洗いして繰り返し使える仕様とすることで、快適かつ衛生的に使用できる設計となっています。2022年10月には、くもり止め機能の強化と、透明フィルム部分が頬に直接触れないようにあて布をつけることによって、より快適なつけ心地となるよう改良しました。
- 目の真ん中から下を100とした場合
第7回ACAP(公益社団法人消費者関連専門家会議)「消費者志向活動章」を受章
2022年2月、聴覚や言語障がいのある消費者の声に耳を傾けて商品化した『unicharm 顔がみえマスク』が評価され、第7回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」(主催:ACAP)を受章しました。
持続可能なライフスタイルの実践
取り組みの背景
当社のパーパスである「SDGsの達成に貢献する」を、開発や調達、生産、物流、販売といった一連のバリューチェーン上での活動を通じて具現化する上で重要な点を社内に浸透させ、全社員に促すことを目的に、持続可能性に貢献する社内基準「SDGs Theme Guideline」の運用を2021年に開始しました。当社が提供する商品・サービスの根幹に深く関与する、新商品開発テーマを第一優先と考え、本ガイドラインの運用を通じて、持続可能なライフスタイルの実践に貢献していきます。
主な取り組み・活動事例
【グローバル】持続可能性に貢献する社内基準「SDGs Theme Guideline」
「SDGs Theme Guideline」は、当社の商品・サービスを常によりよいものへと成長させることを目的に策定・運用しています。これをより具体的にするために、「より少ないインプット」で「より多くのアウトプット」を創出し、商品・サービスを通じて「SDGsの達成に貢献する」指標を策定しました。
- より少ないインプット
原材料使用量を削減することで環境負荷低減に貢献する。 - より多くのアウトプット
商品・サービスが提供する付加価値を従来品よりも大きくすることでお客様の満足をより大きなものとする。 - SDGsの達成に貢献する
1、2を達成しながら、SDGsの達成に貢献するような環境問題、社会課題解決に貢献する。
この3つの指標を「インプット10%マイナス、アウトプット10%プラス & SDGsテーマ」として掲げ、SDGsの達成に貢献するテーマを設定しています。
「SDGsの達成に貢献するテーマ」の一例
• 生産国・地域で調達できる原材料使用量の拡大
• 再生可能な原材料や使用済み品を再生した資材の活用推進
• プラスチックフリーへの挑戦
• リユース可能な新習慣の提案
本ガイドラインは、2021年1月より運用を開始したため、1年目となる2021年の実績開示は運用件数のみにとどめていました。2年目となる2022年は、運用件数が拡大したことなどを踏まえて、本ガイドラインに適合した件数の比率を開示することとし、その実績は10.5%となりました。
ガイドラインに適合した例として、パッド形状でありながら吸収効率約2倍※で、紙パンツ同等の安心感を提供する『ライフリー いつもの下着で安心パッド』や、「美味しさ」「品質」「健康」の全てにこだわった、フリーズドライのささみや野菜が入ったドッグフード『Gran-Deli Frecious(グラン・デリ フレシャス)』が挙げられます。
今後もグループ全体で、数多くの新案件を計画しており、引き続き持続可能なライフスタイルの実践に貢献できる商品・サービスの開発を継続していきます。
- 当社代表的紙パンツとの単位面積当たりの吸収量比較
持続可能性に考慮したバリューチェーンの構築
取り組みの背景
当社の提供する商品やサービスは、資源の利用や廃棄物発生などの環境課題と密接に関係しています。特に原材料に多く用いているパルプや紙などの森林由来資源については、持続可能性に配慮した原材料を使用することが重要と考えています。そこで当社は「調達基本方針」「ユニ・チャームグループ サスティナブル調達ガイドライン」を策定して、原材料を供給するサプライヤーとのパートナーシップの構築を目指しています。また、「森林由来の原材料調達ガイドライン」では、生物多様性保護についての対応をより具体化させました。これらのガイドラインを運用していくことによって、持続可能性に考慮したバリューチェーンの構築を推進します。
主な取り組み・活動事例
【グローバル】森林認証に関する取り組み
当社では、森林資源を利用する際に、持続可能性に配慮した調達と生産を心がけており、パルプや紙などの木材を原料とする資材を森林認証材や管理された森林から調達するとともに、原産地調査等を進めています。
2020年よりインドネシア、タイ、日本、韓国、マレーシア、アメリカの工場においてPEFC国際森林認証制度のCoC(Chain of Custody/加工・流通過程の管理)認証を取得しています。2022年に新たに日本の三重工場がCoC認証を取得したことにより、対象25工場中14工場で認証を取得しました。2022年12月末時点のCoC認証工場数比率は56.0%、パルプのPEFC認証材調達比率は72.3%です。
CoC認証を取得した工場で生産した商品のうち、日本の『ムーニーナチュラル』『ムーニーマンナチュラル』、韓国の『MamyPoko』、マレーシアの『MamyPoko Pants』『PETPET Pants』などのベビー用紙おむつの商品パッケージにPEFC認証ラベルを記載しており、消費者に向けて当社の取り組みの周知や浸透を図っています。
また、2022年11月、SGEC/PEFCジャパン(一般社団法人緑の循環認証会議)と、「森林認証共同推進締結式」を行い、持続可能な森林の利用と保護の共同推進に関する覚書を締結しました。
締結式の様子
PEFC認証ラベルをパッケージに記載している商品の一例
【日本】『ムーニーナチュラル』『ムーニーマンナチュラル』
【韓国】『MamyPoko』
【マレーシア】『MamyPoko Pants』『PETPET Pants』
顧客満足度の向上
取り組みの背景
当社は、社是に「市場と顧客に対し、常に第一級の商品とサービスを創造し、日本及び海外市場に広く提供することによって、人類の豊かな生活の実現に寄与する」ことを掲げ、「“信念と誓い”と企業行動原則」の「お客様への誓い」において「常に全力で尽くし続けることによって、No.1のご支持をいただくこと」を誓っています。商品やサービスの提供を通じて顧客満足度を向上させ、No.1の支持(シェア)拡大に取り組んでいます。
主な取り組み・活動事例
【グローバル】顧客満足度向上によるNo.1シェアの拡大
当社が提供するさまざまな商品やサービスは、清潔で健康的な生活のために不可欠なものとして、世界のあらゆる地域で需要が高まっています。現在は約80の国と地域で事業を展開しており、市場シェアは23.6%です。
今後も、さらなるご支持をいただけるよう、商品・サービスの提供を通じて顧客満足度の向上に取り組みます。
安心な商品の供給
取り組みの背景
当社の商品は、直接お客様の肌に触れるものが多いため、お客様が安心してご使用いただける商品の提供に努めています。安全・安心な商品とサービスを提供するために、品質に関する社内基準を設定し、資材調達から商品開発、お客様の使用、廃棄に至るまでの商品のライフサイクル全体で安全性確保に取り組んでいます。商品開発の段階においては、さまざまな使用実態や廃棄方法などを考慮したリスクアセスメントの実施や、安全性が確認された資材のみを使用した商品での実使用テストを実施することで、安全・安心な商品の供給に努めています。
主な取り組み・活動事例
【グローバル】OEKO-TEXⓇ(エコテックスⓇ)スタンダード100の取得
当社は、世界最高水準の安全性の証である「OEKO-TEXⓇ(エコテックスⓇ)スタンダード100」の認証取得を進めています。
「OEKO-TEXⓇ(エコテックスⓇ)スタンダード100」とは、エコテックスⓇ国際共同体に加盟する認証検査機関により、350種類以上の有害化学物質が対象となる分析試験の結果、厳しい基準をクリアした製品のみに与えられる、国際的な繊維関連製品の安全性に対する認証です。この認証ラベルを使用するには、商品に用いている全ての原材料について、定められた安全基準をクリアしなければならず、ラベルの付与は「高い安全性を有する」ことの“証”となります。
日本では、『ムーニーナチュラル』や『ムーニーマンナチュラル』『ムーニー(テープタイプ)』のベビー用紙おむつ、『シルコットプレミアムコットン』などの化粧用パフが、「OEKO-TEXⓇ(エコテックスⓇ)スタンダード100」を取得しています。また、2022年8月に、同認証を取得したベビー用紙おむつ『ムーニーナチュラル 無漂白※(テープタイプ)』を限定発売しました。これらの商品は、台湾–大中華圏やロシア、オーストラリアで販売しており、グループ全体で安全・安心な商品の拡大に努めています。
- おむつの中に無漂白パルプ配合シート採用