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基本的な考え方・方針

紙おむつや生理用品など、使い捨て商品を製造するユニ・チャームにとって、地球環境に配慮したモノづくりは、決しておろそかにできない重要な課題です。そこで、木材を原料とするパルプの使用と、使い終わった商品を焼却処分する際のCO2排出量に着目し、紙おむつのリサイクルシステムの実現に取り組んでいます。ライフサイクルを通した循環型モデルを構築して、地球環境保全と経済的成長を両立し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

認識する社会課題

社会の課題 ユニ・チャームの取り組み
・CO2排出量の増加による温暖化の進行・気候変動
・資源の枯渇
・海洋プラスチックによる海洋生態系の破壊
・紙おむつのリサイクル技術の開発
・事業所でのエネルギー・廃棄物削減
・環境配慮型商品の開発

SDGsへの貢献

当社の「地球環境への貢献」に関する取り組みは、国連 持続可能な開発目標(SDGs)の「2.飢餓をゼロに」「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「12.つくる責任 つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」および「15.陸の豊かさも守ろう」にも合致すると考えます。自社の強みを活かし、世界共通の課題解決に向けてより一層の貢献を目指します。

ソーシャル・インパクト

ソーシャル・インパクト
環境配慮型商品比率推移

「地球環境への貢献 」について当社では、2005年度を基準年としてライフサイクルで環境負荷低減を実現できているか評価し、環境性能が向上した商品を「環境配慮型商品」と定義し、全商品における「環境配慮型商品」の比率を「ソーシャル・インパクト」指標としています。
その比率は年々増加し、89%になりました。

※ 対象は日本で販売している商品(総合カタログ掲載品、OEM商品と輸入品を除く)

取り組みの背景

紙おむつリサイクルは当社が果たすべき責任

紙おむつ焼却によるCO2排出量推移

高齢社会にあって、大人用紙おむつの生産量は年々増加し続けています。家庭から排出されるごみのうち、紙おむつの体積は全体の8分の1に達しており、焼却処分される使用済み紙おむつの量や、ごみ焼却に伴うコストやCO2排出量も増加していることになります。また、紙おむつは木材を原料とするパルプを使用しているため、使用量の増加は森林資源の消費にもつながります。このように紙おむつは、その利便性によって多くの人たちに快適な育児や介護を支援していますが、同時に森林資源保護や地球温暖化など、さまざまな環境問題と密接に関係しています。

EUでは2030年までに都市廃棄物の65%をリサイクルする目標を掲げ、使用済み紙おむつリサイクルに取り組み始めています。当社も、ごみ焼却コストとCO2排出量、資源の有効活用などを改善する取り組みとして、2015年から使用済み紙おむつのリサイクル事業化への取り組みを開始しました。このような一連の取り組みについて当社では、「紙おむつメーカーが果たすべき責任」であると考え、技術開発や実証実験に取り組んでいます。

また、日々大量に発生する「海洋プラスチックごみ」は、長期にわたり海に残るため、2050年には魚の重量を上回ると予測されています。当社は商品の包装材などにプラスチックを使っているメーカーの責任として、世界的な海洋プラスチック問題の解決に向けて、さまざまなセクターと協働して取り組む「プラスチック・スマート」キャンペーン活動に賛同し、製品の開発段階からプラスチックを減らすことに取り組んでいます。

ユニ・チャームの取り組み

取り組み1:紙おむつ再資源化に向けた取り組み

ライフサイクル全体で環境にやさしい製品づくりを目指しています_取組み1:使用済み紙おむつのリサイクルへ

独自のリサイクルシステムで試作品を公開

2015年、当社の使用済み紙おむつ再資源化プロジェクトがスタートしました。それまでも、一部の使用済み紙おむつから固形燃料(RPF)を作る取り組みは行っていましたが、リサイクル物である固形燃料の経済的価値が低いことや、処理費用が高いことなどが課題でした。使用済み紙おむつ再資源化プロジェクトでは、処理効率を高め、焼却と同等の処理費用に抑えながら、バージンパルプと同等品質の再生パルプを抽出できる再資源化システムを実現しました。

ユニ・チャームの目指す紙おむつの循環型モデルの例

回収した使用済み紙おむつを洗浄・分離し、取り出したパルプに独自のオゾン処理を施して排泄物に含まれる菌を死滅させ、バージンパルプと同等に衛生的で安全なパルプとして再資源化。洗浄・分離時に使用する処理水を再利用し、処理の効率化と排水量の低減化を実現します。さらに、広島大学との共同研究により、再生濃縮排水を浄化して発電する技術を開発し、2017年には、微生物燃料電池処理の基本特許を取得しました。

プロジェクトのスタートから4年を経た2019年には、再資源化した原材料を用いた紙おむつの試作品を公開することができました。同時に、トイレットペーパーやメモ用紙、紙ファイルなどさまざまな試作品も制作。また、2019年10月には使用済み紙おむつリサイクル技術の事業化を目指して、CSR本部(現・ESG本部)内に「リサイクル事業準備室」を設置しました。

<オゾン処理前のパルプ>

<オゾン処理後のパルプ>

使用済み紙おむつのオゾン処理前/オゾン処理後のパルプ比較

リサイクルを実現するため自治体と協働で実証実験を展開

使用済み紙おむつリサイクル事業を実現するためには、自治体や回収業者により、使用済み紙おむつを回収することが必要不可欠です。そこで2016年5月から、鹿児島県志布志市の協力の下、使用済み紙おむつリサイクルシステムの実証実験を行っています。2020年までに志布志市内で本格的な分別回収と再資源化を目指しています。

国内外で普及可能なリサイクルシステムを確立することを目標として、志布志市周辺の市町村との協働を進めると同時に、全国各地で使用済み紙おむつの分別回収と再資源化が実現できるよう、取り組みを強化しています。

環境への効果と衛生面の安全性を検証

リサイクルシステムの採用が、実質的にどのような効果をもたらすか、さまざまな観点から検証を行いました。その結果、使用済み紙おむつを焼却して、新たな紙おむつをバージンパルプから作る場合に比べ、温室効果ガス排出量は87%削減できることが分かりました。再生パルプの衛生面の安全性についても、バージンパルプと同様の高いレベルであることが確認できました。

温室効果ガス排出量
温室効果ガス排出量

○温室効果ガス排出量/焼却との比較
※ 再資源化品による代替効果を含む

各工程における菌数
各工程における菌数
たんぱく質残存量
たんぱく質残存量
○各工程における菌数、たんぱく質残存量/木材から生成したバージンパルプ同様の高い品質で、清潔さや白さを実現

大人用紙おむつを100人が1年間リサイクル品にするとごみ収集車(2トン)約23台分のごみが減り100本分の木を切らなくて済むことが分かっています。(ユニ・チャーム調べ)

SAPの再生化に成功

紙おむつの重要な材料であるSAP(Super Absorbent Polymer/高分子吸収材)は、水分を吸収して保つ働きをします。使用済み紙おむつを再利用するためには、SAPが吸収した水分を完全に排出し、再び吸収できる状態にすることが必要です。これまで、カルシウムを使うことでSAPから水分を取り除けることは知られていましたが、この方法ではSAP内にカルシウムが残り、品質が落ちてしまうため、再利用には適しませんでした。

当社では、SAPを再利用可能な品質にするための研究を、北海道大学と共同で進めてきました。その結果、従来のカルシウムではなく、有機酸水溶液で不活化したSAPを中和することで、再び吸収性に優れたSAPに戻すことに成功し、実証実験では原材料の約70%を再利用できるようになりました。

SAPの再利用

現在は、このようなSAP再生の基本技術の開発に成功し(特許出願済み)、実用化に向けた技術開発に取り組んでいます。

専門家の声
北海道大学大学院工学研究院
助教
環境創生工学部門
水代謝システム分野
水再生工学研究室
伊藤 竜生 氏

私は下水処理場で、排出物からチッソ、リンなど有用なものを回収し、どう使っていくか、という研究を専門に行っています。SAPの研究に携わるようになったのは、2014年からです。カルシウムを使う技術は1980年代頃から知られていましたが、そこから進展することはありませんでした。SAPを再利用するという発想自体を、誰も持っていなかったのではないかと思います。

ユニ・チャームから、「使用済み紙おむつを全て再利用したい」、という相談を受けて、さまざまな可能性を視野に、試行錯誤を重ねました。有機酸水溶液で処理する方法にたどり着いてからは、あらゆる問題が一気に解決していったように思います。

研究室から工場へとスケールアップすると、均一性など、研究室では予測できない問題が起こる可能性もあります。そういった場合にはその都度対応し、今後も使用済み紙おむつのリサイクルという、意義ある事業に関わっていきたいと思っています。

担当者の声
ユニ・チャーム株式会社
ESG本部
リサイクル事業準備室1G
チーフテクノロジスト
八巻 孝一

当社では20年ほど前より、リサイクルへの取り組みを開始し、これまでにさまざまな活動を推進してきました。私は、2015年からそれまでの素材開発の経験を活かし使用済み紙おむつリサイクルを担当しています。
SAPは水分を吸うと約40倍に膨らみます。それを元の状態に戻して再利用するのは不可能だろうと、私自身も考えていました。しかしながら、北海道大学の伊藤先生らからのアドバイスなども参考に試行錯誤を重ねたことで、有機酸水溶液を活用する方法にたどり着くことができました。
いろいろと大変でしたが、多くの人が「無理だろう」と思う分野に取り組んで成果を出していることに、研究者としてのやりがいを感じています。現在、実証実験ではSAPは再利用率が約70%以上になりましたが、全て再利用できるよう、今後も伊藤先生と協力して取り組んでいきたいと思っています。

取り組み2:廃棄物の徹底利用や商品化で、廃棄物※1ゼロを実現

ライフサイクル全体で環境にやさしい製品づくりを目指しています_取組み2:商品化

紙おむつの製造工程では、生産時に発生するロス品や、生産工場から廃棄される紙管や集塵パルプ・紙粉、端材(トリム)など※2、リサイクルしにくい廃棄物がどうしても発生してしまいます。当社はこれらの廃棄物を再利用することができないか、検討を重ねてきました。

その結果、2011年に猫の排泄ケア商品「デオサンド®香りで消臭する紙砂®」を発売しました。紙おむつの開発と製造で培った技術を活かし、臭いが強い猫のおしっこをしっかり固めて消臭効果の高い紙砂®を実現。使用後は焼却ごみとして捨てることができる商品です。その後、製造工程からの廃棄物だけではなく、使用済みの切符や壁紙など、焼却処分していたものも材料に利用し、さらなる資源の有効利用を進めています。

  • ※1:埋立最終処分。
  • ※2:図>紙おむつの製造工程で発生する廃棄物参照。
紙おむつの製造工程で発生する廃棄物

デオサンド®香りで消臭する紙砂®

固まる紙砂®「デオサンド」

国内外の工場から廃棄物を集め、古紙と一緒に細かく切り、おむつに入っていた高分子吸収材は分別します。細かく切った材料を固めて紙砂®の粒を作り、色をつけた粒に高分子吸収材や紙粉をまぶして紙砂®ができあがります。おしっこで濡れた部分はしっかり固まり、固まった部分だけを簡単に焼却ごみとして捨てられる、環境配慮型商品です。

また、不織布やフイルムの端材(トリム)を選別して、プラスチックペレットやポリ袋に再生。廃棄物を削減するとともに、プラスチック原料を抑制することにもつながっています。

プラスチックペレット

再生ポリ袋

重要な社会課題 食品ロスの削減にトレーマットで貢献

食料自給率が低く、多くの食料を輸入に頼っている日本。一方で、まだ食べられるのに莫大な量の食品を廃棄しています。農林水産省によれば2016年の日本国内における食品ロスは約643万トン。国連世界食糧計画(WFP)による食糧援助量(約380万トン、2017年)を大きく上回る量を廃棄しています。また、2015年の国連「持続可能な開発サミット」では、「持続可能な開発目標(SDGs)」の1つ「12. つくる責任 つかう責任」において、2030年までに一人当たりの食品廃棄量を半減させることを目標としました。

こうした世界的な背景を踏まえ、日本で初となる「食品ロスの削減の推進に関する法律」が2019年5月31日に公布され、10月1日に施行されました。

当社では40年以上前から、スーパーマーケットなどで販売される鮮魚・精肉の下に敷くトレーマットの製造・販売を行ってきました。2001年には、単なる水分吸収シートから機能を拡張し、余分なドリップのみを吸収して、食材に必要な適切な水分を保持し、鮮度とうま味を保持する「フレッシュマスター」を発売。その後も、現場の状況や要望を取り入れながら、長年培ってきた不織布・吸収体の加工・成形技術を応用して、食品の鮮度保持機能を向上させるよう商品に改良を加え、食品保存ロスの低減や仕込みの効率化に貢献してきました。

生鮮食品の鮮度を保ち、おいしく食べられる期間を延ばすことは、小売業を取り巻く環境の諸問題を解決する一助となることはもちろん、世界的な課題でもある食品ロスの削減にもつながります。今後もよりよい商品の開発を通じて、持続可能な社会に貢献していきます。

フレッシュマスターは赤みの発色がよく、変色が少ない
 

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