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2016年12月06日

世界初「使用済み紙おむつ再資源化技術」
鹿児島県志布志市と実証試験開始

ユニ・チャーム株式会社(本社:東京都港区、社長:高原豪久)は、持続可能な社会への貢献を目指し、地球環境保全と経済的成長を両立する事業活動に取り組んでいます。

この取り組みの一環として、2015年に発表(News Release 2015年10月30日)した世界で初めての使用済み紙おむつからパルプを再生する再資源化技術を活用した実証試験を開始する協定を鹿児島県志布志市と11月1日に締結しました。今後、志布志市との共同により、使用済み紙おむつの最適な収集方法とそのリサイクル技術の構築に向けた実証試験を開始します。

また11月14日には本田修一・志布志市長がユニ・チャーム本社を訪問し、高原社長と懇談しました(写真)。

背景

大人用と子供用の紙おむつの生産量は、2015年で218億枚 重さ 81万トン※1にのぼります。今後は、高齢者人口の増加を背景に、紙おむつの生産量(特に大人用紙おむつ)の増加は見込まれていますが、ほとんどの紙おむつは、使用後は焼却処理されているのが現状です。一方、再利用となれば、排泄物に含まれる菌がリサイクルした製品に含まれる恐れがありました。昨年、当社が開発したオゾン処理方法(使用済み紙おむつのパルプをバージンパルプ※2と同等の品質にする方法)を用いれば、環境負荷低減効果(温室効果ガス削減効果)と、資材の安全性(衛生安全性)が確保されることが分かっています。

  • 日本衛生材料工業会 生産統計データより(軽失禁用を除く)
  • バージンパルプ:木から取り出した新しいパルプ

志布志市との取り組みの概要

当社は志布志市が主体となっている18の団体・個人から構成された「使用済み紙オムツ再資源化推進協議会」に2016年5月より参画。志布志市および、そおリサイクルセンター(大崎町)、当社の3者間で使用済み紙おむつの収集とリサイクルに関する協定を11月1日に締結し、使用済み紙おむつの再資源化を目指した実証試験段階へ入ります。

リサイクル先進都市・志布志市について

志布志市は10万人以下の人口規模の市ですが、ここ数年、一般廃棄物のリサイクル率が市単位では国内1位。焼却ではなく埋め立て処分を実施しており、リサイクルには力を入れていますが、リサイクル率は76%と高止まりしているのが現状です。更に埋め立てごみに占めるおむつの割合は20%に上っており、同市は環境に優しい紙おむつの再資源化の実現に期待を寄せています。

「そおリサイクルセンター」について

志布志市、大崎町及び曽於市の再資源化の中核となり、分別収集及び中間処理・保管を行っています。使用済み紙おむつの再資源化に向けて10年前より収集及び処理について検討しており、分別品目27種類を混ぜずに収集し、資源化するノウハウを有しています。

取り組み実施内容

(1)使用済み紙おむつの分別回収の検討

志布志市では、現在27品目の分別収集を行い、リサイクルを実施しています。そこに使用済み紙おむつについても市民による分別と排出の協力を要請する主旨説明を行い、2016年11月からモデル収集を実施。きちんと分別排出された使用済み紙おむつが収集されています。今後、再資源化に適した収集方法について更なる検討をしていきます。

㊧実証試験を前に行われた住民説明会(10月中旬撮影)㊨使用済み紙おむつは分別して収集されている。

(2)使用済み紙おむつの再資源化に向けた実証試験

ユニ・チャームが開発した使用済み紙おむつの再資源化へのリサイクル技術※3を「そおリサイクルセンター」へ供与し、具体的な実証試験を行います。リサイクル処理自体についても、既存技術の改良を含め、よりリサイクルしやすい処理技術の開発についても共同研究を開始します。

(3)事業化に向けた可能性判断

これら分別収集の仕組みとリサイクル技術に関する基本情報を蓄積し、リサイクル品の品質・技術の精度を高め、規模を拡大した事業化に向けた可能性判断を2017年3月までに実施します。その後、更に検証を継続して行った上で、2020年の本格事業化を目指します。また並行して、志布志市、「そおリサイクルセンター」と地域特性(サプライチェーンなど)を考慮したリサイクル品の活用や販売方法・販売先についても検討していきます。

※3ユニ・チャームの開発したリサイクル技術:

使用済み紙おむつから低質パルプを回収した後、独自のオゾン処理を加えます。これにより、再利用の工程で設備不具合の原因となる、紙おむつには欠かせない素材の高分子吸収ポリマー(SAP)を酸化させて水と二酸化炭素にまで分解し、バージンパルプと同等の衛生的で安全な上質パルプへと再資源化が可能となりました。昨年完成させた基本技術を活用して実証試験を行います。

環境に対する影響

  • 焼却処理とリサイクル処理との比較

「使用済み紙おむつのリサイクルによるパルプ再利用の環境影響評価」を東京都市大学の伊坪教授と共同で実施し、その評価結果を第30回環境情報科学学会(2016年12月5日)にて発表しました。本研究では、使用済み紙おむつのリサイクル処理について、LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いて、地球温暖化、水処理、土地利用の影響領域における環境負荷を算定し、焼却処理を行いました。リサイクル処理は、焼却処理と比較し、温室効果ガス排出量が約3割、使用済み紙おむつの1トンあたりの処理に必要な水消費量は約6トン、土地利用は約180㎡・year が削減されるという結果が得られ、環境に対して極めて有効な手段であることが更に明確となりました(図1~3)。

エコプロ展に出展

当社コメント

使用済み紙おむつに対して一歩踏み込んだ対応技術であり、得られた素材は環境的にも衛生的にも問題のないことが確認できました。ステークホルダーの皆様のご意見・ご協力を得てこの技術を事業へと進展させていきたいと考えています。当社は環境負荷への責任を十分認識し、環境に配慮した商品の開発を今後も継続して進めてまいります。

 

 <<本件に関するお問い合わせ先>>

一般メディアの方は、ユニ・チャーム(株)企画本部広報室 TEL:03-6722-1019
流通業界紙・誌の方は、ユニ・チャーム(株)営業企画部 TEL:03-6722-1007

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